富山県の葬式/葬儀の風習

富山県は、呉羽山を境に、東西に分けることができます。「呉東」、「呉西」と呼ばれる2つの地域柄により、わずかに風習が異なることも多いです。

・祭壇に「四華花（しかばな）」を飾る風習がある
富山県では、祭壇に「四華花（死花花、死華花とも）」と呼ばれるものを飾る風習があります。四華花とは、白い紙に細かく横に切れ目を入れ、竹串など、細い木の棒に巻き付けたもののこと。紙の色は、呉東では白と黒ですが、呉西では白と緑が使われるという違いがあります。
このしきたりは、ブッダが亡くなるときの故事に由来します。ブッダが涅槃に入る際、沙羅双樹（さらそうじゅ）の花が白く色を変え、ブッダの遺体の上に散り、覆い尽くしたとされているということが由来の一説です。
なお、昔は四華花を木の台などに差したものを遺族が持ち、葬列を組むことが慣習でした。

・焼香の際に小銭を供える風習がある
富山県の葬式/葬儀では、焼香の際に100円や500円程度の小銭を供えていくという風習があります。
「焼香銭」、地域によっては「おみあかし料」と呼ばれる風習です。なお、「おみあかし」とは、神仏の前に供える灯火（ロウソク）のことを指します。
昔はお香自体を持参していた風習が、時代の変化により、小銭に形を変えたと考えられています。なお、葬式/葬儀時だけではなく、通常の訪問時にも、仏壇に手を合わせる際には小銭を供えることもあります。

・出棺の際に遺族が「善の綱」という白い布を引く風習がある
富山県では、出棺の際、白い晒の布を棺に結びつけ、遺族がその端を持って引っぱるという風習があります。棺を火葬場や墓に運ぶ葬列・野辺送りの際に行なっていた風習が元の形で、「善の綱（縁の綱とも）」と呼ばれています。善の綱を引く人は、近親者の女性や子どもであることが多いようです。
この風習の由来は、平安時代までさかのぼります。藤原道長が残した「御堂関白記」に、極楽浄土へと迎え入れてくれる来迎仏（らいごうぶつ）の手から5色の糸が垂れ、道長の手に結ばれるという記述があり、これが由来であると考えられています。

・白装束で火葬場に向かうしきたりがある
富山県呉西地区では、喪主・親族が全員白装束を着て最後のお別れの場に向かうという風習があります。
現代は黒が弔事の色とされていますが、古来、日本の喪服の色は白でした。そのため、葬式/葬儀の場で白装束を着るということは、葬式/葬儀の歴史上、正しいしきたりなのです。

・通夜時に歌を歌う地域がある
富山県舟山地区の一部地域では、「御詠歌」を行なう風習があります。御詠歌とは、仏教の教えを五・七・五・七・七の言葉で和歌にしたものをやさしいメロディーにのせて唱える歌のことです。

富山県の葬式/葬儀の香典と香典返し

香典返しには、葬式/葬儀当日に一律の品をお返しする「即返し」と、後日、頂いた金額の半分ほどをお返しする「半返し」の2通りのしきたりがあります。地域によってさまざまですが、富山県では「即返し」が一般的です。即返しの場合、香典の額に関係なく、2,000～3,000円程度の品を参列者に返すことになります。高額の香典を頂いた場合のみ、後日、差額相当の品を別でお渡しする場合もあります。
香典の相場の目安は以下の通りです。なお、故人との関係性が同じ「親族」や「身内」であったとしても、渡す側の年齢に応じて、相場金額は変動します。
近隣の人：3,000円　友人や知人：5,000円　勤務先の同僚や部下：5,000円　上司：10,000円　親族：10,000円　身内（親・子・兄弟など）：30,000円、50,000円

富山県の葬式/葬儀の流れ

富山県は、葬式/葬儀のあとに火葬を行なう「後火葬」が一般的な地域です。宗派によって違いが見られますが、一般的な流れは以下の通りです。

臨終、死亡診断書の受取り→葬式/葬儀屋/葬儀会社、菩提寺があれば菩提寺にも連絡→遺体搬送→安置、枕経→打ち合わせ→関係社に連絡→火葬手続き→納棺→通夜→葬式/葬儀→出棺→火葬場→お斎（とき）

納棺時、禅宗・真言宗の場合は僧侶が同席しますが、浄土真宗の場合は同席しないという違いがあります。火葬後の「お斎（とき）」とは、会食の席のことを指します。
なお、通夜・葬式/葬儀の流れは以下の通りです。

＜通夜の流れ一例＞
準備→寺院接待→遺族・親族集合→開式→僧侶入場→読経→焼香→法話→僧侶退場→喪主挨拶→閉式→寺院接待

＜葬式/葬儀の流れ一例＞
受付→遺族着席→参列者着席→僧侶入場→開式→読経→焼香→弔事・弔電の奉読→喪主挨拶→閉式→七日法要開式→読経→七日法要閉式→出棺→火葬場→お斎（さい）

富山県の葬式/葬儀費用の平均相場

葬式/葬儀費用は、3つの費用に分けることができます。1つ目は「葬式/葬儀にかかる費用」。通夜・葬式/葬儀・告別式、火葬やお骨上げなどにかかる費用です。2つ目は「接待費」。通夜ぶるまいや精進落とし（お斎）、香典返しなどにかかる費用となります。そして3つ目は「寺院への支払い費用」です。読経や戒名代など、僧侶に支払う金額があたります。
日本消費者協会が2016年に行なった「第11回　葬儀についてのアンケート調査」の報告書に、全国平均額と各都道府県の平均額が発表されています。

＜全国平均＞
・葬式/葬儀にかかる費用：121.4万円
・接待費：30.6万円
・寺院への支払い費用：47.3万円
以上合計金額：195.7万円

＜富山県＞
・葬式/葬儀にかかる費用：150万円
・接待費：49.2万円
・寺院への支払い費用：42.7万円
以上合計金額：227万円

全国平均と富山県とを比較すると、富山県の平均金額の方が30万円ほど高いということがわかります。富山県では一般参列者が葬式/葬儀の最後まで残る地域も多く、その分、飲食接待費が高いということが理由の1つと考えられます。

富山県の家族葬の依頼方法

時代と共に、葬式/葬儀や埋葬の形は変化をしていくもの。昔は自宅葬が一般的であったのが、今ではホールを使う葬式/葬儀が増えていることと同じように、遺骨を自然界に撒く散骨（海洋葬・樹木葬）などが増えています。生前に自ら葬式/葬儀屋/葬儀会社と打ち合わせ・申し込みをして決めておく終活をする人も多くなってきました。
家族葬という葬式/葬儀の形も、そういった変化の1つ。遺族・親族・友人など、近しい人たちだけで最後のお別れを行なう、小規模な葬式/葬儀の形です。依頼方法は一般葬と変わりませんが、人数に応じたホールの用意があるかどうかなど、葬式/葬儀屋/葬儀会社に確認することが必要です。

＜富山県で家族葬に対応している葬式/葬儀場一例＞
・佐々木博善社（中新川郡）
・しまだ葬祭（富山市）

しまだ葬祭は20人程度からとなっているなど、同じ家族葬対応の葬式/葬儀屋/葬儀会社といえども、参列者人数に適したホールの有無はそれぞれ異なります。参列者数に応じたホールがある葬式/葬儀屋/葬儀会社を選びましょう。なお、家族葬プランを用意している葬式/葬儀場を選ぶと、手続きもわかりやすく便利です。

富山県の葬式/葬儀場の選び方

富山県には、富山県内に数多くの葬式/葬儀ホールを持つ葬式/葬儀屋/葬儀会社や、全国チェーンの葬式/葬儀屋/葬儀会社など、さまざまな葬式/葬儀場があります。申し込みをする前に、数カ所で見積もりを上げて比較検討してみることもおすすめです。
富山県内に多数ホールを持っている会社の場合、近くの会場を選びやすいという利点があります。地元企業の場合、富山県ならではの風習に詳しいことも安心できるポイントです。

＜富山県の葬式/葬儀場の一例＞
・メモリアルホール富山（富山市）
・オークスセレモニーセンター富山（富山市）：県内に多数のホールあり
・佐々木博善社（中新川郡）

大半の葬式/葬儀屋/葬儀会社が、葬式/葬儀プランを設けています。わかりやすく便利な制度ですが、中には「何の費用？」というものが含まれている場合や、追加料金が発生せざるを得ない明細になっている場合も。きちんと明細の中身を確認しておくことが、トラブル回避のためにも大切です。こちらの疑問に対して、誠実に対応してくれるかどうかも、判断基準の大事なポイントとなります。営業にひるまず、伝えるべきことはしっかり伝えたいものです。
また斎場の選び方のポイントは、葬式/葬儀屋/葬儀会社の善し悪しだけではありません。参列者のことも考え、アクセスの良さや、近隣の宿泊施設の有無なども踏まえて選ぶようにしましょう。