山梨県の葬式/葬儀の風習

山梨県は、関東と信州の間に位置する県。県内の一部地域で、特に変わった風習が見られます。

・「前火葬」と「後火葬」が混在している
葬式/葬儀の前に火葬を済ますことを「前火葬」、その後、遺骨で葬式/葬儀を執り行うことを「骨葬」と呼びます。
山梨県では、この「前火葬」と「後火葬」が混在している地域です。特に、山梨県大月市に前火葬の風習が見られます。
前火葬の場合、葬式/葬儀時にはすでに遺骨になっているため、ご拝顔が行われないことが特徴。故人の対面を希望する場合には、訃報を受けた際に火葬のタイミングを確認しておくことが必要です。

・地域住民が葬式/葬儀を手伝う「隣組」の風習がある
近所の家、数軒が組となり、組内の葬式/葬儀を手伝う「隣組」の風習があります。葬式/葬儀後の初七日法要は、遺族・親族のみで執り行う場合が多い中、「隣組」の風習がある地域では、友人や近隣住民も招いて行なう場合が多く見られます。

・通夜後に「通夜振る舞い」をする風習がない
通夜の後に会食の席を設けたり、飲食物を振る舞ったりする「通夜振る舞い」という風習は、全国各地に見られるものですが、山梨県には「通夜振る舞い」の風習はありません。
通夜の参列者に対しては、会葬御礼として500円前後の粗品程度のものを返す習わしになっています。
その代わり、山梨県では、葬式/葬儀後に行われる初七日法要のあとに、5,000円程度で会食の席を設ける地域が多くあります。全国的にも精進落としとして、同様に会食の席を設ける地域は多くありますが、山梨県では、この席のことを「初七日御膳」と呼んでいます。また、他県の場合は親族のみの場となる場合が多い中、山梨県では友人・近隣住民も招くことが多いことが特徴です。
招かれた場合、参列者は香典の他に別途食事代相当のお金を渡すことが常識とされています。

・棺を家から出す際、「仮門」を作り、そこから出す
山梨県の一部地域では、出棺の際、玄関以外の場所に「仮門」を作り、そこから行う風習があります。
玄関から行わない理由は、玄関は人の出入口でもあるため、故人の魂も自由に行き来できてしまうから、というもの。迷うことなく、無事成仏を果たせるようにとの願いが込められている風習です。
仮門は、縁側や庭、玄関脇などにアーチ状のものを作ります。材料は、カヤやワラ、葦（あし）や青竹など、地域によって違いが見られます。
無事出棺が済んだあとは、仮門はすぐに壊されてしまいます。こうすることで、故人の魂が戻ってこられないようにするわけです。

・「友引」でも葬式/葬儀を行なう
全国的に、「友引」の日は葬式/葬儀を執り行わない風習が見られます。その理由は、「友」を「引く」、すなわち、友人があの世に引き寄せられてしまうことを避けるため。
しかし、山梨県では、「友引」であっても葬式/葬儀を営むことが多いです。ただし、友引に葬式/葬儀を行なう場合は、棺に故人と一緒に人形を入れる風習があります。この人形は「供人形」と呼ばれ、人間の身代わりになるとされています。

・出棺時に棺をぐるぐる回す風習がある
特に山梨県大月市で見られる風習です。出棺時に、親族が棺を抱え、3回ぐるぐると回すしきたりとなっています。「3回回し」や、「棺回し」と呼ばれる風習です。
棺を回す理由は、棺を回すことにより故人の方向感覚を狂わせ、家に戻ってこられないようにするためというものが一説です。

・出棺の際に歌を歌う人たちがいる
山梨県には、念仏講という人たちが、出棺の際に「ご詠歌」と呼ばれる歌を歌う風習があります。五・七・五からなる日本らしい穏やかな歌で、地域によっては鳴り物を使う場合もあります。現在では少なくなってきている風習の1つです。

・土葬を行なう地域がある
現代日本では、火葬での埋葬が当たり前のように行なわれていますが、山梨県の一部地域では、今でも土葬での埋葬が行なわれています。日本では数少ない、火葬を禁じられているムスリム（イスラム教徒）の土葬用の墓も山梨県には整備されています。

山梨県の葬式/葬儀の香典と香典返し

山梨県では、香典の他、初七日御膳がある場合、香典とは別に食事代を包む風習があります。
香典の相場は、関係性・年齢によって異なりますが、目安は以下の通りです。
近隣の人：3,000円　友人・知人：5,000円　勤務先の同僚、部下：5,000円　勤務先の上司：10,000円　親族：10,000円　身内：30,000円、50,000円

山梨県の葬式/葬儀の流れ

山梨県は、葬式/葬儀前に火葬を行なう「前火葬」と、葬式/葬儀後に行なう「後火葬」とが混在している地域です。後火葬の場合、一般的な流れは以下の通りです。

ご臨終後、葬儀屋/葬儀会社へ依頼→ご遺体を自宅など安置、枕飾り（宗派による）を施す。→葬儀屋/葬儀会社との打ち合わせ→ご遺体を清拭、着替え後、納棺→通夜→葬儀/葬式→出棺→火葬場にて火葬→還骨法要、初七日法要→初七日御膳→遺族自宅にて遺骨の安置、後飾り→忌明け（四十九日）

なお、通夜・葬式/葬儀の流れは以下の通りです。

＜通夜の流れ一例＞
開式→読経・焼香→閉式→葬儀・告別式準備

＜葬式/葬儀の流れ一例＞
開式→読経→弔辞・弔電の奉読→焼香→閉式→出棺→火葬→骨上げ→還骨法要・初七日法要→初七日御膳

山梨県の葬式/葬儀費用の平均相場

全国の葬式/葬儀費用の平均相場は、195.7万円という調査結果が出ました。（日本消費者協会実施：「第11回『葬儀についてのアンケート調査』報告書」（2016年）より）
そして、葬式/葬儀で必要な費用は3種類あります。

・葬儀一式費用（全国平均：121.4万円）
これは、臨終してから自宅あるいは葬儀場まで遺体を運搬する費用、通夜・葬式/葬儀、火葬、骨上げまでに必要な費用のことをいいます。

・飲食接待費用（全国平均：30.6万円）
これは、通夜の後や、葬儀後の火葬中に親族を中心とした参列者にふるまう飲食費用のことをいいます。

・寺院の費用（全国平均：47.3万円）
これは、通夜や葬式/葬儀で儀式を行ってくれる寺院に渡す費用のことをいいます。ほとんどの場合が、読経料と戒名料になります。

上記3種類を合計して、195.7万円になります。
続いて、この3種類の山梨県の平均相場をご紹介します。

・葬儀一式費用：平均150.0万円
・飲食接待費用：26.0万円
・寺院の費用：65.9万円
合計245万円、必要だと言われています。

全国平均に対して、50万円ほど高くなっています。葬式/葬儀費用自体が高い理由の1つとして、隣組制度があり、参列者が多いことが挙げられるのではないでしょうか。由緒のある寺院が多いことが関係しているのでしょう。寺院に支払う費用も高いことが特徴です。

山梨県の家族葬の依頼方法

このところ増えてきている葬式/葬儀の形が、少人数のみで執り行う「家族葬」。遺族・親族・親交のあった友人など、限られた人たちだけで故人を送る葬式/葬儀です。山梨県では、県内に根ざした葬式/葬儀場が多くあり、家族葬を営むことができます。

＜山梨県で家族葬に対応している葬式/葬儀場一例＞
・ジットセレモニー（南アルプス市、甲府市、甲斐市など県内8ヶ所）
・宝葬祭（甲府市）

葬式/葬儀場により、流れは多少変わります。ここでは、30年の実績を持つ宝葬祭での流れを例に挙げてみます。

臨終後、宝葬祭に連絡→病院・施設等に迎え→自宅に安置→宝葬祭と打ち合わせ→火葬予約・手続き→自宅にて通夜→翌日宝ホールに搬送→告別式→火葬→初七日御膳の席

なお、宝葬祭では前火葬、直葬、ホールでの通夜など、多くのパターンに対応してもらえます。

山梨県の葬式/葬儀場の選び方

山梨県には、県内に根ざした葬式/葬儀場が多くあります。県内に数カ所、葬式/葬儀場を設けている会社も。

＜山梨県の葬式/葬儀場一例＞
・宝葬祭（甲府市）
・アピオセレモニー（県内各地に直営15ホール）
・ジットセレモニー（甲府市、南アルプス市、甲斐市など県内8ホール）
・JAセレモニーみどり（甲斐市）

長年地元で葬式/葬儀を執り行っているため、信頼も厚く、地元の風習にも詳しいというメリットがあるでしょう。

＜良い葬式/葬儀場を選ぶ際のポイント＞
・明細がわかりやすい見積書を出し、しっかりと説明をしてくれる。
・プラン内の明細も開示してくれる。
・遺族の希望を聞き、選択肢を与えてくれる。
・費用を抑える形での葬儀/葬式を希望した場合でも、丁寧に応対してくれる。
・契約を急かさない。強引な営業をしない。

葬式/葬儀・家族葬問わず、現在では多くの葬式/葬儀場がプランを用意しています。しかし、中身を確認せず契約することは危険。明細をきちんと確認し、納得した上で葬式/葬儀場を選びましょう。